セルゲイ・レートフ講演会

演劇映像コースでは、ロシア語ロシア文学コースとの共催で、セルゲイ・レートフの講演会を開催します。皆さんお誘い合わせの上ご参加ください。

 

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セルゲイ・レートフ講演会

「ロシア現代美術のアクションとパフォーマンス―〈集団行為〉とモスクワ・コンセ
プチュアリズム」

日時: 2011年12月9日 14:45~16:15
会場: 早稲田大学早稲田キャンパス26号館(大隈タワー)3階 302会議室
http://www.waseda.jp/jp/campus/waseda.html
主催: 早稲田大学文学学術院 演劇映像コース、ロシア語ロシア文化コース
入場無料・予約不要

20世紀から現代にかけてのロシア美術・演劇史において重要な役割を果たしている
グループ〈集団行為〉の活動について、80年代以降参加者として音楽的側面を担った
ジャズ・ミュージシャン、セルゲイ・レートフが語ります。レートフは2001年にイン
ターネット・サイト「モスクワ・コンセプチュアリズム」を立ち上げており、〈集団行
為〉のアクションの全記録もこのサイトで読むことができます。

アンドレイ・モナスティルスキー率いる〈集団行為〉は、2011年度ヴェネツィア・ビ
エンナーレロシア館の代表ともなっている現代美術のグループ。1976年から
活動を開始、カバコフ、ソローキン、プリゴフら、20世紀から現代を代表する
芸術家が参加しています。
オーガナイザーは仲間に招待状を送りつけて〈アクション〉を行い、その行為の
進行や参加者たちの声を記録します。例えば、まっさらのだだっ広い野原に
招待された観客たちが、オーガナイザーの指示に従って一人づつルートを
進んでいく。途中である方向を向いて望遠鏡を覗いたり、見え隠れする人や
オブジェを見たり、写真を撮ったり、録音されたドキュメント(例えば電車の
発着・走行の音)を聴いたりすることが求められる。一連の行為が終了すると
参加証明書が発行されます。
これらのアクションに物語的なものは極力排されていて、そこに見られる
のはスコア(記譜)的、ジョン・ケージ的な構造の骨組みと、遊戯性をもった
偶然や即興のモメントです。オーガナイザー側の参加者とともに、観客もこの
骨組みに肉付けをする役割を果たします。行為や知覚の存在論的な零度、
心理のモメントのミニマルな分析のようなものを目指しつつ、アクションの経過
と成果を公開していくやり方には、何か儀式的な神秘化のようなものがありま
すが、これらはすべて20世紀構造主義哲学へのロシア的な呼応と戯れである
かもしれません。行為の不思議な時空間は詳細に記録され、ドキュメント
の形で行為の謎を保ち続けることになります。
今回の講演では数あるアクションの中から音楽が重要な役割を果たした
ものを中心に、そこに隠されたコンセプトや構成、参加者としての体験などが
歴史的背景を取り交ぜて語られることになります。

講師紹介
セルゲイ・レートフ
1956年、現在のカザフスタンのセミパラチンスク生まれ。ロシア・アヴァン
ギャルド・ジャズ界きっての知的で超技巧なサックス(およびあらゆる管楽器)
奏者で、クリョーヒンの〈ポップ・メハニカ〉やロシア・ロックの伝説〈キノ〉のツォイ
との共演も多数。演劇やコンテンポラリー・ダンスにおける作曲家・パフォーマー
としても活躍しており、モスクワ・タガンカ劇場のヒット作『マラー/サド』(1998)
の作曲は高い評価を受けた。

http://conceptualism.letov.ru/KD-ACTIONS-J.htm (日本語)
http://conceptualism.letov.ru/KD-actions.html (ロシア語)
http://conceptualism.letov.ru/KD-ACTIONS.htm (英語)